対数を面積で定義する

対数は、指数の逆として導入しなくても定義できます1y=1xy = \dfrac{1}{x} の下の面積として定めるやり方を見ます。

面積で定義する

11 から xx までの面積を L(x)L(x) とします。

L(x)=1xdttL(x) = \int_1^x \frac{dt}{t}
xx の範囲L(x)L(x) の符号
x>1x > 1
x=1x = 100
0<x<10 < x < 1負(向きが逆)

微分積分学の基本定理から L(x)=1x>0L'(x) = \dfrac{1}{x} > 0 なので、LL は単調に増える関数です。

積が和に変わる

鍵になるのは 1t\dfrac{1}{t} の形がもつ拡大縮小への強さです。t=ast = as と置きかえると dtt=dss\dfrac{dt}{t} = \dfrac{ds}{s} になります。

aabdtt=1bdss\int_a^{ab} \frac{dt}{t} = \int_1^{b} \frac{ds}{s}

区間を aa 倍に伸ばしても面積が変わらないということです。これを使うと L(ab)=L(a)+L(b)L(ab) = L(a) + L(b) が出ます。積が和に変わる、対数の性質そのものです。

ee が決まる

L(x)=1L(x) = 1 となる xxee と呼ぶ、という定め方です。面積がちょうど 11 になるところまで進んだ位置が e2.71828e \approx 2.71828 で、1edtt=1\int_1^e \dfrac{dt}{t} = 1 です。

逆関数が指数関数になる

LL の逆関数を EE とすると、L(x)=1xL'(x) = \dfrac{1}{x} から逆関数の微分で E(y)=E(y)E'(y) = E(y)、つまり微分しても変わらない関数です。指数と対数のどちらを先に置いても、同じ 22 つが出てきます。

出発点定義するもの次に出るもの
axa^x を先に置く指数関数逆関数として対数
dtt\int \dfrac{dt}{t} を先に置く対数逆関数として指数

この道筋の利点

axa^x の意味を無理数の指数まで広げる作業を先にしなくてよいことです。1x\dfrac{1}{x} の積分という素朴な量から出発して、対数、ee、指数関数の順に組み立てられます。

グラフの双曲線が y=1xy = \dfrac{1}{x}、ゆるやかに増える曲線が面積を表す y=logxy = \log x で、大きな点は面積が 00(1,0)(1, 0) と、面積が 11 になる (e,1)(e, 1) です。

  1. Natural logarithm、Wikipedia