y=xsinx1 関数 y=xsinx1 のグラフ
y=xsinx1 は、sinx1 に x を掛けた関数です。掛けた x が振幅を押さえるので、原点付近の激しい振動が高さごと 0 へ潰されます。はさみうちの原理がそのまま形になった関数であり、連続だからといって微分できるとはかぎらないことを示す標準例でもあります。
定義域と対称性
定義域は x=0 です。次のように偶関数になり、y 軸に関して対称です。
f(−x)=(−x)sin(−x1)=xsinx1=f(x) 奇関数どうしの積が偶関数になるという規則どおりの結果です。
はさみうち
sinx1≤1 なので、次が成り立ちます1。
−∣x∣≤xsinx1≤∣x∣ つまりグラフは二直線 y=x と y=−x の作るくさびの内側に閉じ込められます。両側から 0 へ押しつぶされるので、x→0 での極限は 0 です。振動そのものは止まらず回数も減りませんが、振れ幅だけが消えていきます。sinx1=1 となる x=(2n+1)π2 で、曲線はくさびの辺に触れます。
連続だが微分できない
f(0)=0 と定めれば、極限が 0 ですからこの関数は原点で連続になります。ところが微分はできません。定義に従って差分商を作ると、次のようになるからです。
hf(h)−f(0)=hhsinh1=sinh1 これは h→0 で極限をもちません。連続性と微分可能性が別物であることを、一行の計算で示せる例になっています。
| 関数 | 原点での連続性 | 原点での微分可能性 |
|---|
| sinx1 | 連続にできない | 論外 |
| xsinx1 | 連続 | 微分できない |
| x2sinx1 | 連続 | 微分できる(導関数は不連続) |
掛ける x の次数を上げるほど原点のふるまいがおとなしくなる、という段階が見てとれます。
遠方での振る舞い
u=x1 とおくと、この関数は sinc 関数の合成にほかなりません。
xsinx1=usinu x→±∞ は u→0 にあたるので y→1 となり、直線 y=1 が水平漸近線です。sinc 関数が u>0 の全域にわたって描く無限個の振動が、そっくりそのまま原点の近くへ押し込められている、という見方ができます。
値域と極値
usinu は u=0 でつねに 1 未満で、最初の極小は tanu=u の解 u≈4.4934 において ≈−0.2172 です。これを移して考えると、最小値 ≈−0.2172 は x=4.49341≈0.2225 のときに実現します。値域は −0.2172≤y<1 で、1 に届かないのは usinu<1 がつねに成り立つからです。
零点
sinx1=0 となる x=nπ1 が零点で、sinx1 と共通です。x を掛けても零点は動かず、原点に集積する点列であることも変わりません。
意義
解析の入門では、極限の計算にはさみうちの原理を使う最初の例としてこの関数が挙げられます。同時に、原点で連続でありながら接線をもたない曲線の具体例でもあり、微分可能性が連続性より強い条件であることを目で確かめられます。
- Squeeze theorem、Wikipedia