微分で示す不等式
不等式は、差をとって増減を調べれば示せます。ex≥1+x を確かめます。
差の増減を調べる
差を g(x)=ex−1−x とおきます。示したいのは、すべての x で g(x)≥0 となることです。
g′(x)=ex−1 ex は単調に増え、x=0 で 1 になります。
| 範囲 | ex | g′ | g の増減 |
|---|
| x<0 | <1 | 負 | 減少 |
| x>0 | >1 | 正 | 増加 |
したがって g は x=0 で最小になり、その値は g(0)=0 です。最小値が 0 なので g(x)≥0、つまり ex≥1+x がすべての x で成り立ちます。等号は x=0 のときだけです。
図で見る
y=1+x は y=ex の x=0 における接線です。g′′(x)=ex>0 なので ex は下に凸で、下に凸な関数はどの接線よりも上にあります1。この不等式はその一例です。
置きかえで別の形が出る
| 置きかえ | 得られる不等式 |
|---|
| x→−x | e−x≥1−x |
| x→lnt | lnt≤t−1 |
| x→n1 | e1/n≥1+n1 |
二つ目は対数を上から押さえる形として、よく使われます。
e の定義とのつながり
三つ目の両辺を n 乗すると、次が得られます。
e≥(1+n1)n e の定義に現れる数列が e を超えないことが、この 1 つの不等式から分かります。
手順
- 差をとる
- 微分する
- 符号の変化から最小値か最大値を出す
- それが 0 以上かどうかを見る
x>0 でだけ示したいときは、その範囲の端の値と増減だけを調べれば済みます。不等式の証明が、増減の問題に置きかわります。
グラフの下に凸の曲線が y=ex、その接線が y=1+x、2 つの差が y=ex−1−x で、大きな点は接点 (0,1) と、差が 0 になる原点です。
- Convex function、Wikipedia