y=arcschx 逆双曲線余割 y=arcschx
arcschx(逆双曲線余割)は、双曲線余割 cschx=sinhx1 の逆関数です1。csch が x=0 の各枝を y=0 へ単調に写すので、逆関数の定義域も x=0、値域も y=0 になります。
定義と閉形式
cschy=x は sinhy=x1 と同じですから、arcschx=arsinhx1 です。対数で書くと次のようになります。
arcschx=ln(x1+x21+1) arsinh が実数全体で定義されるので、x1 が定まりさえすれば値が決まります。それが定義域 x=0 の理由です。
定義域と値域
- 定義域は x=0
- 値域は y=0
- 各枝で単調に減少する
- 奇関数
対称性と漸近線
csch が奇関数なので逆関数も奇関数で、グラフは原点に関して点対称です。
| 近づき方 | arcschx |
|---|
| x→0+ | →+∞ |
| x→0− | →−∞ |
| x→±∞ | →0 |
y 軸が垂直漸近線、x 軸が水平漸近線です。
増減と凹凸
導関数は −∣x∣1+x21 で、定義域上つねに負ですからどちらの枝でも単調に減少します。二階導関数の符号は x と同じで、x>0 では下に凸、x<0 では上に凸となり、変曲点はありません。
発散の遅さ
もとの cschx が原点付近で x1 のように激しく発散したのに対し、逆関数のこちらは lnx2 程度でしか発散しません。
| x | arcschx |
|---|
| 0.001 | ≈7.6009 |
| 0.5 | ≈1.4436 |
| 1 | ln(1+2)≈0.8814 |
| 2 | ≈0.4812 |
arcsch(0.001)≈7.6009 は ln2000≈7.6009 と一致します。x を 1000 分の 1 にしても値は 8 程度にしかならないわけで、対数の増え方の遅さがそのまま出ています。逆関数をとると発散の激しさが対数に置き換わるという、一般的な事情の具体例になっています。
遠方での振る舞い
∣x∣ が大きいところでは x1 が小さくなり、arsinhu≈u が使えるので arcschx≈x1 となります。
| 範囲 | cschx | arcschx |
|---|
| 原点付近 | ≈x1(反比例) | ≈lnx2(対数) |
| 遠方 | ≈2e−x(指数減衰) | ≈x1(反比例) |
もとの関数と逆関数で、原点付近と遠方の役割がちょうど入れ替わっています。
逆双曲線関数の全体像
これで逆双曲線関数は六つが出そろいます。もとの双曲線関数の値域が、そのまま逆関数の定義域に移ってきています。
| 関数 | 定義域 | 値域 |
|---|
| arsinhx | すべての実数 | すべての実数 |
| arcoshx | x≥1 | y≥0 |
| artanhx | −1<x<1 | すべての実数 |
| arcothx | ∣x∣>1 | y=0 |
| arsechx | 0<x≤1 | y≥0 |
| arcschx | x=0 | y=0 |
接頭辞の ar は area の略で、双曲線扇形の面積を表すことに由来します。三角関数側の arc が円弧の長さを指すのと対をなす名前です。
- Inverse hyperbolic functions、Wikipedia