y=max⁡(sin⁡x, cos⁡x)y = \max(\sin x,\, \cos x)

関数 y=max⁡(sin⁡x, cos⁡x)y = \max(\sin x,\, \cos x) のグラフ

y=max⁡(sin⁡x, cos⁡x)y = \max(\sin x,\, \cos x) は、正弦と余弦のうち大きいほうを選ぶ関数です。なめらかな波を二つ重ねて上側だけをたどるので、二本が交わるところに角ができます。最大値をとるという操作がグラフの上でどう見えるかを確かめられる関数です。

どちらが上か

sin⁡x=cos⁡x\sin x = \cos x となるのは tan⁡x=1\tan x = 1、すなわち x=π4+nπx = \dfrac{\pi}{4} + n\pi のときです。この点を境に上下が入れ替わります。

区間選ばれる関数
−3π4<x<π4-\dfrac{3\pi}{4} < x < \dfrac{\pi}{4}cos⁡x\cos x
π4<x<5π4\dfrac{\pi}{4} < x < \dfrac{5\pi}{4}sin⁡x\sin x

これが 2π2\pi ごとに繰り返されるので、周期は 2π2\pi です。

値域

最大値は 11 で、cos⁡x=1\cos x = 1 となる x=2nπx = 2n\pi と、sin⁡x=1\sin x = 1 となる x=π2+2nπx = \dfrac{\pi}{2} + 2n\pi の二か所で達します。最小値は交点のうち低いほう、x=5π4+2nπx = \dfrac{5\pi}{4} + 2n\pi における −22≈−0.707-\dfrac{\sqrt{2}}{2} \approx -0.707 です。

したがって値域は −22≤y≤1-\dfrac{\sqrt{2}}{2} \leq y \leq 1 で、もとの二つの関数がとる −1-1 という値には決して下がりません。片方が −1-1 のとき、もう片方は 00 だからです。

角と山

交点では左右の傾きが食い違います。

x=π4x = \dfrac{\pi}{4} での様子傾き
左から来る cos⁡x\cos x−22-\dfrac{\sqrt{2}}{2}
右へ続く sin⁡x\sin x22\dfrac{\sqrt{2}}{2}

下向きにとがった角になり、x=5π4x = \dfrac{5\pi}{4} でも同様です。一方、山の頂上は選ばれている側の関数の極大点そのものなので、そこはなめらかです。角が二つ、なめらかな山が二つ、これが 11 周期のうちに現れます。

絶対値による表示

二つの数の大きいほうを表す公式 max⁡(a,b)=a+b+∣a−b∣2\max(a, b) = \dfrac{a + b + |a-b|}{2} を使うと、次のように書けます。

max⁡(sin⁡x, cos⁡x)=22(sin⁡(x+π4)+∣sin⁡(x−π4)∣)\max(\sin x,\, \cos x) = \frac{\sqrt{2}}{2}\left(\sin\left(x+\frac{\pi}{4}\right) + \left|\sin\left(x-\frac{\pi}{4}\right)\right|\right)

sin⁡x+cos⁡x=2sin⁡(x+π4)\sin x + \cos x = \sqrt{2}\sin\left(x+\dfrac{\pi}{4}\right) と sin⁡x−cos⁡x=2sin⁡(x−π4)\sin x - \cos x = \sqrt{2}\sin\left(x-\dfrac{\pi}{4}\right) を代入した結果です。なめらかな正弦波と、絶対値をとった正弦波の和として書けることが分かります。角が出るのは後者のためで、∣sin⁡x∣|\sin x| のグラフがもつ角がそのまま持ち込まれています。

最大値をとる操作

max⁡\max で作った関数は、もとの関数がどれだけなめらかでも、交わる点で微分できなくなるのがふつうです。ランプ関数 max⁡(0,x)\max(0, x) が原点で折れるのも同じ事情で、片方を定数 00 にした場合にあたります。

逆に min⁡\min をとれば下側をたどる関数になり、次の関係で結ばれます。

min⁡(sin⁡x, cos⁡x)=sin⁡x+cos⁡x−max⁡(sin⁡x, cos⁡x)\min(\sin x,\, \cos x) = \sin x + \cos x - \max(\sin x,\, \cos x)

応用

二つの信号のうち強いほうを選ぶ回路や、複数の条件のうち最も厳しいものが効く設計では、応答がこの形になります。最適化では、いくつかの線形な制約の最大値をとった関数を最小化するという問題が標準的に現れ、そこでも角をもつ関数をどう扱うかが要点になります1。

  1. Convex optimization、Wikipedia