関数 y=ex−x のグラフ
y=ex−x は、指数関数から一次関数を引いた形です。この関数の最小値がちょうど 1 であることが、指数関数をめぐるもっとも基本的な不等式 ex≥x+1 そのものになっています。
定義域と増減
定義域はすべての実数です。導関数は次のようになります。
y′=ex−1 ex=1 すなわち x=0 で 0 になります。x<0 では ex<1 より負、x>0 では正ですから、x=0 で極小かつ最小となり、値は e0−0=1 です。
値域と基本不等式
最小値が 1 なので値域は y≥1 です。これを書き直すと、すべての実数 x について次が成り立ちます。
ex≥x+1 等号は x=0 のときに限ります。直線 y=x+1 は曲線 y=ex の x=0 における接線ですから、この不等式は、下に凸な曲線がその接線の上側にあることの一例です。y=ex−x のグラフは、その 2 つの縦の差をとったものだと見ることもできます。
凹凸
二階導関数は y′′=ex でつねに正ですから、全域で下に凸であり変曲点はありません。この凸性こそが、上の接線不等式が成り立つ理由です。
漸近線
x→−∞ では ex→0 なので y は −x に近づきます。実際 y−(−x)=ex→0 ですから、直線 y=−x が斜め漸近線です。いっぽう x→+∞ では ex が x を圧倒して発散し、漸近線はありません。左では直線に貼りつき、右では指数的に跳ね上がるという、左右で非対称な形になります。
方程式の解の個数
y≥1>0 なので x 切片はなく、方程式 ex=x は実数解をもちません。より一般に ex=x+c の解の個数は、水平線 y=c とこのグラフの交点の個数として読めます。
| c の範囲 | 解の個数 |
|---|
| c<1 | なし |
| c=1 | 1 つ(x=0) |
| c>1 | 2 つ |
導かれる不等式
x のところに lnt を代入すると、対数についての不等式が出ます。
lnt≤t−1(t>0) 対数を一次式で上から押さえるこの形は、相加平均と相乗平均の関係や、情報理論のギブスの不等式など、多くの証明の出発点になります。ex≥x+1 は、指数関数について最初に覚えるべき不等式だといえます。
通る点
(0,1)、(1,e−1)≈(1,1.718)、(−1,e−1+1)≈(−1,1.368)、(2,e2−2)≈(2,5.389) などを通ります。