y=(1+1x)xy = \left(1 + \dfrac{1}{x}\right)^{x}

関数 y=(1+1x)xy = \left(1 + \dfrac{1}{x}\right)^{x} のグラフ

y=(1+1x)xy = \left( 1 + \dfrac{1}{x} \right)^{x} は、xx を大きくしていくとネイピア数 ee に近づく関数です。数列 (1+1n)n\left( 1 + \dfrac{1}{n} \right)^{n} の極限として ee を定義するとき、その背後にあるのがこの曲線です。底が 11 に近づき指数が大きくなるという 22 つの効果がせめぎ合い、どちらも勝たずに有限の値へ落ち着きます。

定義域

底 1+1x=x+1x1 + \dfrac{1}{x} = \dfrac{x+1}{x} が正でなければ実数の累乗が定まらないので、定義域は x>0x > 0 または x<−1x < -1 です。−1≤x≤0-1 \leq x \leq 0 では底が 00 以下になり、グラフはそこで途切れます。

22 つの枝

枝端の振る舞い値域
x>0x > 0x→0+x \to 0^{+} で 11、x→∞x \to \infty で ee1<y<e1 < y < e
x<−1x < -1x→−1−x \to -1^{-} で +∞+\infty、x→−∞x \to -\infty で eey>ey > e

右の枝の左端は ∞0\infty^{0} の不定形ですが、対数をとった xln⁡(1+1x)x\ln\left( 1 + \dfrac{1}{x} \right) が 00 に収束するので y→1y \to 1 です。左の枝では直線 x=−1x = -1 が垂直漸近線になります。22 つの枝が上下から ee を挟みながら、どちらも ee そのものはとりません。

単調性

ln⁡y=xln⁡(1+1x)\ln y = x\ln\left( 1 + \dfrac{1}{x} \right) を微分します。

ddxln⁡y=ln⁡(1+1x)−1x+1\frac{d}{dx}\ln y = \ln\left( 1 + \frac{1}{x} \right) - \frac{1}{x+1}

u=1xu = \dfrac{1}{x} とおくとこれは ln⁡(1+u)−u1+u\ln(1+u) - \dfrac{u}{1+u} の形で、u>0u > 0 ではつねに正です。したがって右の枝は単調に増加します。左の枝も同様に、xx が増えるにつれて増加します。

収束の遅さ

誤差はおよそ e2x\dfrac{e}{2x} の大きさで減っていきます。

nn(1+1n)n\left( 1 + \dfrac{1}{n} \right)^{n}
10102.593742.59374
1001002.704812.70481
100010002.716922.71692
10610^{6}2.7182802.718280

精度を 11 桁上げるのに xx を 1010 倍しなければならないので、ee の数値を求める道具としてはきわめて非力です。実用には級数 e=∑n=0∞1n!e = \sum_{n=0}^{\infty}\dfrac{1}{n!} が使われ、こちらは項を足すたびに精度が跳ね上がります。

複利との関係

元金 11 に年利 100%100\% がつくとき、11 年を nn 回に分けて複利で計算すると (1+1n)n\left( 1 + \dfrac{1}{n} \right)^{n} になります。分割を細かくするほど有利になりますが、いくら細かくしても e≈2.718e \approx 2.718 を超えません。ヤコブ・ベルヌーイが 16831683 年にこの問題を考えたのが、ee が数学に現れた最初とされています。連続複利という言い方は、この極限をとった状態を指します。

一般化

同じ議論で、次の極限が成り立ちます。

lim⁡x→∞(1+ax)x=ea\lim_{x \to \infty} \left( 1 + \frac{a}{x} \right)^{x} = e^{a}

a=−1a = -1 とすれば (1−1x)x→1e\left( 1 - \dfrac{1}{x} \right)^{x} \to \dfrac{1}{e} です。指数関数 eae^{a} を、aa を細かく分けて少しずつ効かせた極限として捉える見方であり、微分方程式や確率論で連続極限を作るときの基本的な道具になっています。