y=sech2x 関数 y=sech2x のグラフ
y=sech2x は、双曲線正割の二乗です。tanhx の導関数がちょうどこの形になることから、シグモイド型の関数を微分したときに現れる釣鐘形として広く登場します。
定義域と値域
- 定義域はすべての実数
- 値域は 0<y≤1
- 最大値 1 を x=0 でとる
- 偶関数
coshx≥1 より 0<sechx≤1 なので、二乗しても同じ範囲に収まります。
双曲線正接の導関数
tanhx=coshxsinhx を商の微分で計算すると、この関数が現れます。
dxdtanhx=cosh2xcosh2x−sinh2x=cosh2x1=sech2x つまりこの関数は tanhx の傾きそのものです。tanh が原点付近でいちばん急に立ち上がり、両端で平らになる様子が、そのまま山の形として現れています。
増減と極値
導関数は y′=−2sech2xtanhx です。sech2x は正なので符号は −tanhx で決まり、x<0 で増加、x>0 で減少します。極大かつ最大は (0,1) です。
変曲点
sech2x=1−tanh2x を使うと、二階導関数は次のように書けます。
y′′=(6tanh2x−2)sech2x 符号が変わるのは tanh2x=31 のとき、すなわち x=±artanh31≈±0.658 です。そこでの値は 1−31=32 で、変曲点の高さがきれいな分数になります。内側は上に凸、外側は下に凸です。
| x | y | 位置 |
|---|
| 0 | 1 | 最大 |
| ≈±0.658 | 32 | 変曲点 |
| ±1 | ≈0.4200 | 山の裾 |
| ±2 | ≈0.0707 | ほぼ平ら |
減衰
∣x∣ が大きいところでは sechx≈2e−∣x∣ なので、次のように指数的に減衰します。
y≈4e−2∣x∣ x 軸が水平漸近線です。ガウス関数ほど急ではないものの、じゅうぶんに速い減り方です。
積分と確率密度
原始関数は tanhx そのものなので、全区間の積分は次のようになります。
∫−∞∞sech2xdx=tanh(∞)−tanh(−∞)=2 したがって 21sech2x は確率密度になります。実際 21+tanhx=1+e−2x1 が成り立つので、これはロジスティック関数を分布関数にもつ分布の密度にあたります。
ソリトン
浅い水の波を記述する KdV 方程式には、次の進行波の解があります1。
u(x,t)=2csech22c(x−ct) 形を変えずに一定の速さで進むこの孤立波がソリトンで、その断面がまさにこのグラフです。速いソリトンほど背が高く幅が狭くなることも、この式から読み取れます。1834 年にラッセルが運河で観察した「変わらない波」の理論的な姿でもあります。
応用
量子力学では −sech2x の形のポテンシャルが厳密に解け、しかも波を反射しないという特別な性質をもつことが知られています。機械学習では tanh を活性化関数に使ったときの勾配がこの関数になり、入力が大きいところで勾配が指数的に小さくなる、いわゆる勾配消失の原因を目で見て確かめられます2。
- Soliton、Wikipedia
- Vanishing gradient problem、Wikipedia