y=sinx+sin2x2+sin3x3y = \sin x + \dfrac{\sin 2x}{2} + \dfrac{\sin 3x}{3}

フーリエ級数の部分和 y=sinx+sin2x2+sin3x3y = \sin x + \dfrac{\sin 2x}{2} + \dfrac{\sin 3x}{3}

y=sinx+sin2x2+sin3x3y = \sin x + \dfrac{\sin 2x}{2} + \dfrac{\sin 3x}{3} は、無限級数 n=1sinnxn\sum_{n=1}^{\infty}\dfrac{\sin nx}{n} を最初の 33 項で打ち切ったものです1。なめらかな正弦波をいくつか足すだけで、角のある不連続な波形が現れてくる様子を見るための関数です。

定義域と対称性

定義域はすべての実数です。各項が奇関数なので和も奇関数で、原点に関して点対称です。周期は 2π2\pi で、x=0x = 0x=πx = \pi ではすべての項が 00 になるため y=0y = 0 です。

近づいていく先

無限に足したときの極限は、0<x<2π0 < x < 2\pi で次の直線になります。

n=1sinnxn=πx2\sum_{n=1}^{\infty}\frac{\sin nx}{n} = \frac{\pi - x}{2}

x=0x = 0 をまたぐところで値が π2\dfrac{\pi}{2} から π2-\dfrac{\pi}{2} へ跳び、これが 2π2\pi ごとにくり返されます。ただし跳びの点そのものでは級数は 00、つまり左右の平均値に収束します。連続な関数をいくら足しても各点での収束先は不連続になりうる、という事実がここに現れています。

33 項での様子

項が 33 つしかない段階では、直線への近づき方はまだ粗いままです。それでも xx00 から π\pi へ進むにつれて値がおおむね減っていくという、のこぎり波の骨格はすでに見てとれます。項を増やすほど直線に密着し、跳びの位置での立ち上がりが急になっていきます。

行き過ぎ(ギブス現象)

部分和は跳びの近くで極限を超えて盛り上がります。この 33 項の場合、最大は x=π4x = \dfrac{\pi}{4} に現れます。

33 項の最大値(x=π4x = \dfrac{\pi}{4}1.4428\approx 1.4428
同じ点での極限値 πx2\dfrac{\pi - x}{2}1.1781\approx 1.1781
行き過ぎの割合22%22\%

項を増やしてもこの盛り上がりは消えず、幅が狭くなるだけで高さは跳びの約 9%9\% に留まり続けます。これがギブス現象で、フーリエ級数が一様には収束しないことの現れです2。デジタル信号処理で急な変化の周りにリンギングが出る原因でもあります。

導関数

導関数は cosx+cos2x+cos3x\cos x + \cos 2x + \cos 3x です。項を無限に増やした cosnx\sum\cos nx は通常の意味では収束せず、ディラックのデルタを含む超関数としてしか意味をもちません。のこぎり波を微分すると、一定の傾きと跳びの点でのインパルスになるという事情に対応しています。

応用

フーリエ級数は、任意の周期関数を正弦波の重ね合わせで表す道具です。

  • 音の合成と分析
  • 画像の圧縮
  • 偏微分方程式の解法

その最初の一歩が、この「有限個で打ち切ったらどうなるか」という問いになります。

  1. Fourier series、Wikipedia
  2. Gibbs phenomenon、Wikipedia