y=x31−xy = \sqrt{\dfrac{x^3}{1-x}}

ディオクレスのシッソイド y=x31−xy = \sqrt{\dfrac{x^3}{1-x}}

y=x31−xy = \sqrt{\dfrac{x^3}{1-x}} は、ディオクレスのシッソイドの上半分です1。両辺を 22 乗した y2(1−x)=x3y^2(1-x) = x^3 が曲線の方程式で、紀元前 22 世紀ごろのギリシアの数学者ディオクレスが、立方体倍積問題を解くために考案しました。シッソイドという名はギリシア語の「ツタの葉に似た」に由来します。

定義域と値域

  • 定義域は 0≤x<10 \leq x < 1
  • 値域は y≥0y \geq 0
  • 単調に増加する
  • 下半分とあわせた曲線全体は xx 軸に対称
xx の範囲分子 x3x^3分母 1−x1-x根号の中
x<0x < 0負正負(不可)
0≤x<10 \leq x < 100 以上正00 以上
x>1x > 1正負負(不可)

原点の尖点

原点の近くでは 1−x≈11 - x \approx 1 なので y≈x3/2y \approx x^{3/2} とふるまい、y′=32x1/2→0y' = \dfrac{3}{2}x^{1/2} \to 0 となります。したがって原点での接線は xx 軸ですが、上下の二つの枝が同じ向きから入ってくるため、なめらかにはつながりません。原点は尖点です。

単調性と漸近線

y2=x31−xy^2 = \dfrac{x^3}{1-x} の両辺を微分すると 2yy′=x2(3−2x)(1−x)22yy' = \dfrac{x^2(3-2x)}{(1-x)^2} となり、0<x<10 < x < 1 では右辺が正なので単調に増加します。x→1−x \to 1^{-} では分母が 00 に近づいて y→+∞y \to +\infty となるため、直線 x=1x = 1 が垂直漸近線です。曲線は原点から出て、この漸近線に沿って上へ伸びていきます。

幾何学的な作り方

直径 11 の円 x2+y2=xx^2 + y^2 = x と、その円に (1,0)(1, 0) で接する直線 x=1x = 1 を用意します。原点から出る半直線が円と交わる点を QQ、直線と交わる点を RR とし、原点からの距離が線分 QRQR の長さに等しい点 PP をとると、PP の軌跡がシッソイドです。

実際 OQ=cos⁡θOQ = \cos\theta、OR=sec⁡θOR = \sec\theta なので OP=sec⁡θ−cos⁡θOP = \sec\theta - \cos\theta となり、極方程式は次の形になります。

r=sin⁡2θcos⁡θr = \frac{\sin^2\theta}{\cos\theta}

立方体倍積問題

与えられた立方体の体積を 22 倍する、つまり 23\sqrt[3]{2} を作図する問題は、定規とコンパスだけでは解けないことが知られています2。ディオクレスはこの曲線を使って解きました。

曲線上の点では次が成り立ちます。

(yx)3=y3x3=y3y2(1−x)=y1−x\left(\frac{y}{x}\right)^3 = \frac{y^3}{x^3} = \frac{y^3}{y^2(1-x)} = \frac{y}{1-x}

そこで点 (1,0)(1, 0) と点 (0,2)(0, 2) を結ぶ直線 y=2(1−x)y = 2(1-x) との交点をとれば、右辺は 22 になり、比 yx\dfrac{y}{x} がちょうど 23\sqrt[3]{2} になります。(0,k)(0, k) に変えれば同じ手順で k3\sqrt[3]{k} が得られます。

放物線との関係

原点を中心とする半径 11 の反転、すなわち点 PP を同じ半直線上の OP⋅OP′=1OP \cdot OP' = 1 となる点 P′P' に移す変換でこの曲線を写すと、放物線 y2=xy^2 = x になります。逆にいえば、シッソイドは放物線をその頂点を中心に反転した曲線です。11 本の漸近線と 11 個の尖点をもつ三次曲線として、ニュートンによる三次曲線の分類にも現れます。

  1. Cissoid of Diocles、Wikipedia
  2. Doubling the cube、Wikipedia