y=xln⁡xy = \dfrac{x}{\ln x}

関数 y=xln⁡xy = \dfrac{x}{\ln x} のグラフ

y=xln⁡xy = \dfrac{x}{\ln x} は、素数の個数のふるまいを表す式として知られています。素数定理は、xx 以下の素数の個数 π(x)\pi(x) がこの関数と同じ速さで増えることを主張します。

定義域と符号

ln⁡x\ln x が定義されて 00 にならないことが必要なので、定義域は x>0x > 0 かつ x≠1x \neq 1 です。0<x<10 < x < 1 では ln⁡x<0\ln x < 0 なので y<0y < 0、x>1x > 1 では y>0y > 0 になります。

漸近線と端の振る舞い

x=1x = 1 が垂直漸近線で、左から近づくと −∞-\infty、右から近づくと +∞+\infty へ向かいます。x→0+x \to 0^{+} では分子が 00 に、分母が −∞-\infty に向かうので y→0−y \to 0^{-} となり、曲線は下側から原点へ入っていきます。x→∞x \to \infty では xx が ln⁡x\ln x を圧倒して発散するため、右側に漸近線はありません。

増減と極値

商の微分から導関数を求めます。

y′=ln⁡x−1(ln⁡x)2y' = \frac{\ln x - 1}{(\ln x)^2}

分母は正なので符号は ln⁡x−1\ln x - 1 で決まり、x<ex < e で負、x>ex > e で正になります。したがって x=ex = e で極小となり、値は ee です。極小点 (e,e)(e, e) は 22 つの座標が一致します。

値域

0<x<10 < x < 1 の枝は 0−0^{-} から −∞-\infty まで減り続けるので値域は y<0y < 0、x>1x > 1 の枝は最小値 ee をもつので y≥ey \geq e です。あわせて 0≤y<e0 \leq y < e の値はとりません。これは y=exxy = \dfrac{e^{x}}{x} の値域とまったく同じ形で、対数と指数を入れ替えても同じ構造が現れるのは面白いところです。

凹凸

二階導関数は y′′=2−ln⁡xx(ln⁡x)3y'' = \dfrac{2 - \ln x}{x(\ln x)^3} です。

範囲分子分母凹凸
0<x<10 < x < 1正負上に凸
1<x<e21 < x < e^{2}正正下に凸
x>e2x > e^{2}負正上に凸

変曲点は x=e2≈7.389x = e^{2} \approx 7.389 ただ 11 つで、そこでの値は e22≈3.695\dfrac{e^{2}}{2} \approx 3.695 です。

素数定理

xx 以下の素数の個数を π(x)\pi(x) とすると、素数定理は 22 つの比が 11 に収束することを述べています。

π(x)∼xln⁡x\pi(x) \sim \frac{x}{\ln x}

直感的には、xx の近くでの素数の密度がおよそ 1ln⁡x\dfrac{1}{\ln x} であり、素数どうしの平均間隔が ln⁡x\ln x 程度だということです。ただし収束はかなり遅く、値はなかなか近づきません。

xxπ(x)\pi(x)xln⁡x\dfrac{x}{\ln x}比
10610^{6}784987849872382723821.0851.085
10710^{7}6645796645796204216204211.0711.071

より良い近似

誤差を大きく減らすのが対数積分です。

li⁡(x)=∫2xdtln⁡t\operatorname{li}(x) = \int_2^{x}\frac{dt}{\ln t}

li⁡(106)≈78628\operatorname{li}(10^{6}) \approx 78628 で、真の値との差は 130130 ほどしかありません。この積分は t=eut = e^{u} と置き換えると ∫euu du\int \dfrac{e^{u}}{u}\,du になり、指数積分そのものです。xln⁡x\dfrac{x}{\ln x} は li⁡(x)\operatorname{li}(x) の漸近展開の最初の 11 項にあたり、リーマン予想は li⁡(x)\operatorname{li}(x) と π(x)\pi(x) の差がどれだけ小さいかという主張として述べられます。