y=arsechx 逆双曲線正割 y=arsechx
arsechx(逆双曲線正割)は、双曲線正割 sechx=coshx1 の逆関数です1。sech は偶関数なので実数全体では一対一になりません。そこで x≥0 の部分に制限すると、値が 1 から 0 へ単調に減るので逆関数が定まります。
定義と閉形式
sechy=x は coshy=x1 と同じですから、arsechx=arcoshx1 です。対数で書くと次のようになります。
arsechx=lnx1+1−x2 定義域と値域
- 定義域は 0<x≤1
- 値域は y≥0
- 単調に減少する
- 偶でも奇でもない
sech の値域が (0,1] だったので、逆関数の定義域はその区間になります。x=1 のとき y=0 で、x→0+ では lnx2→+∞ となるため、y 軸が垂直漸近線です。
増減
導関数は次のとおりです。
dxdarsechx=−x1−x21 定義域上つねに負ですから単調に減少します。x→1− では 1−x2→0 より導関数が発散するので、点 (1,0) での接線は垂直です。曲線は右端で縦に立ち上がり、左へ向かって y 軸に沿って伸びていきます。
凹凸
二階導関数は x2(1−x2)3/21−2x2 です。分母は正なので符号は 1−2x2 で決まり、x=21 の前後で切り替わります。変曲点はこの一点だけで、そこでの値は arcosh2=ln(1+2)≈0.881 です。左側では下に凸、右側では上に凸になります。
特徴的な値
| x | arsechx |
|---|
| 0.1 | ≈2.9932 |
| 0.5 | ln(2+3)≈1.3170 |
| 21 | ln(1+2)≈0.8814 |
| 1 | 0 |
他の逆双曲線関数との違い
| 関数 | 定義域 |
|---|
| arsinhx | すべての実数 |
| arcoshx | x≥1 |
| artanhx | −1<x<1 |
| arsechx | 0<x≤1 |
arsech だけが有界な区間を受けもちます。もとの sech が偶関数で有界だったことが、逆関数の側では定義域の狭さと、値を正に限る制限として現れています。
追跡線との関係
追跡線(トラクトリックス)は次の式で与えられますが、第一項がまさにこの関数です2。
y=lnx1+1−x2−1−x2=arsechx−1−x2 長さ一定のひもで引かれる物体の軌跡が、逆双曲線正割から半円を引いた形になっているわけです。追跡線を回転させた擬球が負の定曲率をもつことと合わせて、この関数は非ユークリッド幾何の側からも顔を出します。
- Inverse hyperbolic functions、Wikipedia
- Tractrix、Wikipedia