y=arcsec⁡xy = \operatorname{arcsec} x

逆正割 y=arcsec⁡xy = \operatorname{arcsec} x

arcsec⁡x\operatorname{arcsec} x(逆正割)は、正割 sec⁡x=1cos⁡x\sec x = \dfrac{1}{\cos x} の逆関数です1。sec⁡\sec は周期関数なので逆関数を作るには範囲を絞る必要があり、arccos⁡\arccos に合わせて値域を [0,π][0, \pi] にとるのがふつうです。

定義と閉形式

sec⁡y=x\sec y = x は cos⁡y=1x\cos y = \dfrac{1}{x} と同じですから、次のように書けます。

arcsec⁡x=arccos⁡1x\operatorname{arcsec} x = \arccos\frac{1}{x}

arccos⁡\arccos の定義域が [−1,1][-1, 1] であることから、∣1x∣≤1\left|\dfrac{1}{x}\right| \leq 1、すなわち ∣x∣≥1|x| \geq 1 が定義域になります。

定義域と値域

  • 定義域は x≤−1x \leq -1 または x≥1x \geq 1
  • 値域は [0,π][0, \pi] から π2\dfrac{\pi}{2} を除いたもの
  • x=1x = 1 のとき y=0y = 0、x=−1x = -1 のとき y=πy = \pi

−1<x<1-1 < x < 1 には曲線がありません。∣sec⁡y∣≥1|\sec y| \geq 1 がつねに成り立つことの裏返しです。値 π2\dfrac{\pi}{2} をとるには 1x=0\dfrac{1}{x} = 0 が必要なので、そこにも届きません。

漸近線

x→+∞x \to +\infty でも x→−∞x \to -\infty でも 1x→0\dfrac{1}{x} \to 0 なので y→π2y \to \dfrac{\pi}{2} となり、直線 y=π2y = \dfrac{\pi}{2} が水平漸近線です。右の枝は下から、左の枝は上から近づくので、二つの枝がこの直線を挟む形になります。値そのものが π2\dfrac{\pi}{2} に届かないため、漸近線は文字どおり触れられない境界です。

特徴的な値

xx1x\dfrac{1}{x}arcsec⁡x\operatorname{arcsec} x
−1-1−1-1π\pi
−2-2−12-\dfrac{1}{2}2π3\dfrac{2\pi}{3}
2\sqrt{2}22\dfrac{\sqrt{2}}{2}π4\dfrac{\pi}{4}
2212\dfrac{1}{2}π3\dfrac{\pi}{3}
111100

増減と接線

導関数は次のとおりです。

ddxarcsec⁡x=1∣x∣x2−1\frac{d}{dx}\operatorname{arcsec} x = \frac{1}{|x|\sqrt{x^{2}-1}}

定義域上つねに正ですから、どちらの枝でも単調に増加します。∣x∣→1|x| \to 1 では x2−1→0\sqrt{x^{2}-1} \to 0 より導関数が発散するので、両端の点 (1,0)(1, 0) と (−1,π)(-1, \pi) での接線は垂直です。曲線は端で縦に立ち上がり、遠方では漸近線に沿って寝ていきます。

不連続がないこと

定義域が −1<x<1-1 < x < 1 を含まないおかげで、この関数は跳びも振動ももちません。二つの枝はそれぞれ連続で、値域も重なりません。同じ「逆数を通した逆関数」でも、arccot⁡\operatorname{arccot} のように定義域が原点をまたぐ場合には主値の取り方が問題になりますが、arcsec⁡\operatorname{arcsec} ではその問題が起きないわけです。

逆余割との関係

arcsec⁡x+arccsc⁡x=π2\operatorname{arcsec} x + \operatorname{arccsc} x = \frac{\pi}{2}

arccos⁡u+arcsin⁡u=π2\arccos u + \arcsin u = \dfrac{\pi}{2} に u=1xu = \dfrac{1}{x} を代入したものにほかなりません。したがって二つのグラフは、直線 y=π4y = \dfrac{\pi}{4} に関して互いを折り返した関係にあります。

  1. Inverse trigonometric functions、Wikipedia