y=sinx+cosxy = \sin x + \cos x

関数 y=sinx+cosxy = \sin x + \cos x のグラフ

y=sinx+cosxy = \sin x + \cos x は、正弦と余弦を足しただけの関数です。二つの波を重ねているのに、結果はやはり一つの正弦波になります。三角関数の合成と呼ばれる操作の、もっとも簡単で美しい例です1

合成

加法定理を逆向きに使うと、次のようにまとめられます。

sinx+cosx=2sin(x+π4)\sin x + \cos x = \sqrt{2}\,\sin\left(x + \frac{\pi}{4}\right)

実際に右辺を展開すると、もとの式に戻ります。

2sin(x+π4)=2(sinxcosπ4+cosxsinπ4)=2(22sinx+22cosx)=sinx+cosx\begin{align*} \sqrt{2}\,\sin\left(x+\frac{\pi}{4}\right) &= \sqrt{2}\left(\sin x\cos\frac{\pi}{4} + \cos x\sin\frac{\pi}{4}\right) \\ &= \sqrt{2}\left(\frac{\sqrt{2}}{2}\sin x + \frac{\sqrt{2}}{2}\cos x\right) \\ &= \sin x + \cos x \end{align*}

もとの二つの振幅がどちらも 11 なのに、合成した振幅が 2\sqrt{2} になるのは、二つの波の位相が π2\dfrac{\pi}{2} ずれているためです。直角に交わる長さ 11 のベクトルを足すと長さ 2\sqrt{2} になるのと同じ理屈です。

値域と周期

  • 振幅は 21.414\sqrt{2} \approx 1.414
  • 周期は 2π2\pi
  • 値域は 2y2-\sqrt{2} \leq y \leq \sqrt{2}
  • 最大値を x=π4+2nπx = \dfrac{\pi}{4} + 2n\pi、最小値を x=5π4+2nπx = \dfrac{5\pi}{4} + 2n\pi でとる

零点と対称性

sinx+cosx=0\sin x + \cos x = 0tanx=1\tan x = -1 と同じなので、零点は x=3π4+nπx = \dfrac{3\pi}{4} + n\pi です。偶関数でも奇関数でもありませんが、最大値をとる直線 x=π4x = \dfrac{\pi}{4} に関して線対称になっています。

sinx\sin x のグラフを左へ π4\dfrac{\pi}{4} ずらし、縦に 2\sqrt{2} 倍したものだと見ればわかりやすいでしょう。

xxyy
0011
π4\dfrac{\pi}{4}2\sqrt{2}
3π4\dfrac{3\pi}{4}00
5π4\dfrac{5\pi}{4}2-\sqrt{2}
7π4\dfrac{7\pi}{4}00

増減と凹凸

導関数は y=cosxsinx=2cos(x+π4)y' = \cos x - \sin x = \sqrt{2}\cos\left(x+\dfrac{\pi}{4}\right) です。二階導関数は次のようになり、単振動の方程式をそのまま満たします。

y=sinxcosx=yy'' = -\sin x - \cos x = -y

したがって変曲点は y=0y = 0 となる零点と一致し、x=3π4+nπx = \dfrac{3\pi}{4} + n\pi にあります。

一般の合成

同じ計算で次が成り立ちます。

asinx+bcosx=a2+b2sin(x+α)a\sin x + b\cos x = \sqrt{a^2+b^2}\,\sin(x+\alpha)

ここで α\alphacosα=aa2+b2\cos\alpha = \dfrac{a}{\sqrt{a^2+b^2}}sinα=ba2+b2\sin\alpha = \dfrac{b}{\sqrt{a^2+b^2}} で定まる角です。振幅が a2+b2\sqrt{a^2+b^2} になる形は三平方の定理そのもので、二つの成分をベクトルとして合成していることがはっきりします。

応用

交流回路では、抵抗を流れる電流と容量や誘導を流れる電流の位相が π2\dfrac{\pi}{2} ずれるので、合計の電流を求める計算がまさにこの合成になります。振幅が単純な和ではなく二乗和の平方根になることが、インピーダンスの計算の基礎です。同じ構造は波の干渉や、信号を振幅と位相の対で表すフェーザ表示にも現れます2

  1. List of trigonometric identities、Wikipedia
  2. Phasor、Wikipedia