y=sin(x2)y = \sin(x^2)

チャープ信号 y=sin(x2)y = \sin(x^2) のグラフ

y=sin(x2)y = \sin(x^2) は、正弦の中身を二乗にした関数です。xx が進むほど中身の変化が速くなるので、波は右へ行くほど細かく詰まっていきます。周波数が時間とともに増えていくこの種の波はチャープと呼ばれ、鳥のさえずりのように音程が上がっていく信号を指す言葉です1

定義域と対称性

定義域はすべての実数、値域は区間 [1,1][-1, 1] です。(x)2=x2(-x)^2 = x^2 ですからこの関数は偶関数で、グラフは yy 軸に関して対称です。左へ進んでも同じように詰まっていきます。周期関数ではありません。

局所的な周波数

位相が x2x^2 なので、その変化率が各点での角周波数にあたります。

ddxx2=2x\frac{d}{dx}x^2 = 2x

xx に比例して線形に増えていくことから、この波は線形チャープと呼ばれます。

零点の詰まり方

sin(x2)=0\sin(x^2) = 0 となるのは x2=nπx^2 = n\pi、すなわち x=nπx = \sqrt{n\pi} のときです。

nn零点 x=nπx = \sqrt{n\pi}前の零点との間隔
111.7725\approx 1.77251.7725\approx 1.7725
222.5066\approx 2.50660.7341\approx 0.7341
333.0700\approx 3.07000.5634\approx 0.5634
443.5449\approx 3.54490.4749\approx 0.4749
553.9633\approx 3.96330.4184\approx 0.4184

隣り合う零点の間隔は nn が大きくなるとおよそ π2n\dfrac{\sqrt{\pi}}{2\sqrt{n}} のように縮んでいきます。はじめは急に、その後はゆっくりと詰まっていく様子が見てとれます。

原点付近と増減

導関数は y=2xcos(x2)y' = 2x\cos(x^2) で、x=0x = 0 では 00 になります。原点の近くでは sinuu\sin u \approx u が使えるので、曲線は放物線とほとんど区別がつきません。

sin(x2)x2\sin(x^2) \approx x^2

振動が始まるのは xx がある程度大きくなってからで、最初の山は x2=π2x^2 = \dfrac{\pi}{2}、つまり x1.253x \approx 1.253 に現れます。

フレネル積分

この関数の積分は初等関数で表せず、フレネル積分と呼ばれる特殊関数を定義します2。無限まで積分した値は次のとおりです。

0sin(x2)dx=π80.6267\int_0^{\infty}\sin(x^2)\,dx = \sqrt{\frac{\pi}{8}} \approx 0.6267

被積分関数が 00 に収束しないのに積分が有限に収まるのは、振動が速くなって正負が打ち消し合うためで、絶対収束ではない条件収束です。フレネル積分を座標にとって描いた曲線はコルニュの螺旋と呼ばれ、光の回折の計算に使われます。

応用

レーダーでは、短い強力なパルスの代わりにチャープ信号を長く送り、受信後に圧縮することで、送信電力を抑えたまま高い距離分解能を得る手法が使われます3

  • レーダーやソナーのパルス圧縮
  • 超音波診断における分解能の改善
  • 磁気共鳴画像で傾斜磁場を掃引して得る信号
  • 合体直前の連星が出す重力波(チャープ信号と呼ばれる)
  1. Chirp、Wikipedia
  2. Fresnel integral、Wikipedia
  3. Pulse compression、Wikipedia