y=x3−3x 三次関数 y=x3−3x のグラフ
y=x3−3x は、極大と極小をもつ三次関数のもっとも扱いやすい形です。素の y=x3 が単調に増加するだけなのに対し、−3x を加えると山と谷が現れます。極値の座標が整数になるので、増減表を書く題材として広く使われます。
定義域と対称性
定義域も値域もすべての実数です。f(−x)=−x3+3x=−f(x) より奇関数で、原点に関して点対称です。
切片
x3−3x=x(x2−3) と因数分解できるので、x 切片は x=0 と x=±3≈±1.732 の 3 つです。三次方程式が相異なる 3 つの実数解をもつ場合にあたります。
増減と極値
導関数は次のようになります。
y′=3x2−3=3(x−1)(x+1) 符号を追うと、増減は次のように移ります。
| x | y′ の符号 | 増減 |
|---|
| x<−1 | 正 | 増加 |
| x=−1 | 0 | 極大値 2 |
| −1<x<1 | 負 | 減少 |
| x=1 | 0 | 極小値 −2 |
| x>1 | 正 | 増加 |
極大点 (−1,2) と極小点 (1,−2) はどちらも整数の座標をもち、山と谷の高さの差は 4 です。
凹凸
二階導関数は y′′=6x で、x=0 の前後で符号が変わります。変曲点は原点 (0,0) で、そこより左は上に凸、右は下に凸です。三次関数では変曲点がつねに対称の中心になるという一般則が、ここでは原点そのものとして現れています。
解の個数
水平線 y=k との交点を数えると、方程式 x3−3x=k の実数解の個数が分かります。極小値 −2 と極大値 2 が境目です。
| k の範囲 | 実数解の個数 |
|---|
| ∣k∣>2 | 1 個 |
| ∣k∣=2 | 2 個 |
| ∣k∣<2 | 3 個 |
境目では重解になります。実際 x3−3x−2=(x+1)2(x−2)、x3−3x+2=(x−1)2(x+2) と因数分解でき、どちらも重解と単解の組になっています。
三角関数による表示
x=2cosθ とおくと、三倍角の公式 cos3θ=4cos3θ−3cosθ が使えます。
y=8cos3θ−6cosθ=2(4cos3θ−3cosθ)=2cos3θ −2≤x≤2 の範囲がこの置き換えで θ の一周に対応し、極値がちょうど ±2 になるのもこのためです。この関数はチェビシェフ多項式を使って y=2T3(2x) と書け、区間のなかで同じ高さの山と谷が交互に並ぶ等振動性が、極値の値をきれいな整数にしています。
三次方程式の解法
上の置き換えは、三次方程式を解く実用的な道具でもあります。∣k∣≤2 のとき 2cos3θ=k を解けば θ=31arccos2k が得られ、3 つの実数解が次の形で書けます。
x=2cos(θ+32nπ) 3 つとも実数なのにカルダノの公式では複素数の立方根を経由せざるをえない、いわゆる還元不能の場合を、三角関数がまっすぐに解いてくれるわけです。